法律豆知識 【顧問弁護士】
【問】
別居して離婚調停中だが、相手方が生活費を全く支払わない。どうしたらよいか。
【答】
離婚調停中であっても、離婚が成立していない以上、夫婦の扶養義務はなくなりません。だから、生活に困窮している場合には、相手方に生活費や養育費(子を引き取っている場合)を請求することができます。
しかし、請求しても相手方が事実上支払ってくれない場合には、取り得る方法としては@調停委員に対する「調停前の処分申し立て」と、A家庭裁判所に対して「婚姻費用の分担を求める審判の申し立て」とが考えられます。
@は、調停の結論が出る前でも「調停委員は、…調停のために、必要があると認める処分を命じることができる」(家事審判規則一三三条一項)との規定に基づくものです。
これは、進行中の手続きを利用できる点は便利ですが、この処分には強制執行する力はなく、違反した時の制裁があるだけなので (同条二項三項)、命令を得ても、相手方が従わない場合の効果は薄くなります。 Aは、調停とは切り離して、審判を求めるものです。この場合は、審判が始まる前の保全処分として、相手方の財産に仮差し押えなどをすることができます(家事審判法十五条の三、同規則十五条の二)。
そこで、婚姻費用分担の審判を求めた上で、審判前の保全処分を申し立てることになりますが 「婚姻費用分担の申し立てが認められる蓋然性」 「保全処分の必要性」を疎明すること(証明よりゆるやかなもの)が必要になる点で、申し立ての準備がやや面倒です。
しかし、保全処分に基づいて後に強制執行もできるという点では、@に比べて強力です。どちらを選ぶかは、調停手続きの進行の様子や、相手方の態度などから判断すると良いと思ます。