法律豆知識 【顧問弁護士】
【問】
私が知らないうちに、他人のアパートの、賃貸契約の保証人にされていて、本人が家賃を支払わず、家主から請求が来ました。請求に応じなければならないでしょうか。
【答】
原則として支払い義務はない。
自分の知らない間に、勝手に名前(押印)を使われた場合、基本的には、保証人として何ら滞納家賃の支払い義務は発生しません。
「本人が契約上の一定の義務を負うには、本人にその意志が存在しなければならない」というのが、民法の原則であり、保証人となる意志が存在しないのに保証人としての責任を負わされるいわれがないことは、当然のことです。
しかし、社会生活において、取り引きの相手方を保護するために、例外的に、自分に債務を負担する意志がないのに責任を負わされる場合があり、その代表例は「表見代理責任」といわれるケースです。(民法一〇九条、一一〇条、一一二条)
例えば、自分の実印・印鑑証明などを知人に預けていたとき、その知人が勝手に、その実印・印鑑証明などを利用して、自己のアパートの、賃貸借契約の連帯保証人にしたという場合、
◎ 賃貸借(保証)契約書の存在(@「一定の義務を負うかのような外形が存在すること」)
うかつに知人に実印・印鑑証明を預けていた責任(「A責任を負わされるものにその外形を作り出したことについての責任(婦貴性)があること」)が認められ、貸し主があなたに保証の意志があると、過失なくて信じた場合(B「契約の相手方が、その外形を本人の意志に基づくものと、過失なく信じたこと(善意・無過失)」)には、保証人として、責任を負わなければならい場合が出てくるのです。
しかし、実印・印鑑証明などを勝手に持ち出されたというようなことであれば、あなたに責任はないし、さらにBの相手方(貸し主および仲介不動産業者)の善意・無過失の点ですが、不動産業者は、直接保証人に面接して保証意志を確認するか、保証の確約書を提出させて、保証意思の確認を慎重に行っているのが通常です。
トラブルが起こるのは、不動産業者(あるいは不動産業者を通さないで契約した家主)が、保証人の同意なく保証契約書を提出していることを、うすうす知っていたり(悪意)、あるいは少なくとも、保証人に対する確認手続きを怠った(過失あり)ケースがほとんどであり、この場合には、Bの要件を欠き、表見代理人責任が否定され、責任を負う必要はありません。
設問のようなトラブルが起こったら、弁護士に相談することをおすすめします。