文書質問趣意書
「乳幼児医療費助成の拡充について」
東京都がH6年度から実施してきた乳幼児医療費助成制度は、今年から対象が就学前まで拡充され、若い親たちの子育てへの大きな支援となっています。現在では、全国のすべての自治体で、入院、通院を含め広がってきました。少子化が大きな社会問題となり、子育ての経済負担の軽減が求められているとき、この制度への期待は一層強くなっています。
子供の病気の罹患率は、とりわけ就学前までが高いことがさまざまな調査から明確になっています。厚生省の報告でも、1歳から4歳児では風邪とアトピーだけで、83.6%になっており、小児疾患にアレルギー性ぜんそくやアトピーなどが増え、早期発見と早期治療が、とくに、この時期が大切な時期であることが強調されています。
一方、H13年度の東京都社会福祉基礎調査によると「生計中心者の平均収入額」は、世帯の生計中心者の、H12年中の平均収入額は調査以来初めて減少し、収入が「300万円未満」の割合は増加し、「300万円以上」の割合は減少している」と報告され、若い親たちの医療費負担はとりわけ重いものになっていることが伺えます。
八王子市がH10年に実施した児童実態調査でも、「子育て支援事業として市民が望む施策」の第1位は、「子育てに係る経済的な負担の軽減」となっています。切実な要望が列挙される中で1位をしめるのは、どの親たちにも共通の要望となっていることがわかります。
Q1 これらの調査がしめしているように、乳幼児の病気にかかる実態は3歳ころまでが多く、また育てる若い親の家計の実態はこれまで以上に厳しくなっていると思うが、このことをどのように受け止めますか。
ところが、東京都の制度は、全年齢に所得制限をもうけ、助成はそれ以下に適用されることになっています。そのため、就学前の人口は62万8500人余であるにもかかわらず、補助を受けている乳幼児は42万5800人余。補助率67.7%で、全都で19万人以上が補助対象外となっています。そのため、これまで繰り返し、補助を拡大してほしいという声が、当局にも議会にもだされてきました。
八王子市内で、2歳、4歳、7歳の3人の子供を育てる母親は「所得制限で医療費助成はうけられていないと友人にいうと、お金持ちね、と嫌みを言われます。しかし、実際は、児童手当も、幼稚園も何も助成が受けられず、悔しい思いをしているのが実情です、そしてそういう気持ちは実は自分だけでなく、友人の中にもたくさんいるのです。今月は歯医者にかかり、嘔吐の風邪で3300円以上も負担をしました。上の子の風邪には下の子の薬を残して飲ませました。こういうことをやっているのも私だけでなく、何人ものお友達がやっているというのです。皆、ボーナスカットなどで、前年度の収入とも変わっている人もたくさんいるのです。」補助対象外となっている世帯でも十分に医療を受けさせらないのが今の若い親たちなのです。そして、せめて、子供の病気の時ぐらいは十分な医療を受けさせたいと思うのはどの親も同じではないでしょうか。
Q2 所得制限をもうけて医療費助成を行っているが、経済状況の悪化や、こうした実態がある中で、改めて検討する必要があるのではないか。
一方、所得制限には自治体間の格差が残され、所得制限撤廃は残されている自治体住民の切実な願いになっています。現在、区部で20地区、市町村では3地区と都内では23区市が所得制限なしとしていますが、特に、区部と多摩では大きな差となっています。これまでもさまざまな施策で三多摩格差といわれていますが、乳幼児医療費の所得制限の差がある実態は、新たな三多摩格差といわれています。その結果、市長会からは毎年東京都に要望が出され、来年度の予算要望でも「子育て環境の充実についてー子供と家庭をとりまく環境が大きく変化し、子育てに関する不安を抱える親が増加し、児童虐待につながることや、子育て費用の負担の増大などから、今、子育て支援の充実が強く求められている。都においては乳幼児医療費助成の所得制限の撤廃および補助率の引き上げなどの財政措置など積極的支援策を講じること」と出されています。
さらに、毎年1回開かれ、今年も10月に開かれた、3多摩の市長と、多摩地域選出都議会議員との懇談会でだされた資料でも、「多摩地域の現状」として、4項目あげた主な指標でも、乳幼児医療費助成制度の所得制限の状況が示され、「各団体の方針が異なっているとしても、市民への影響は大きく、子育て支援を充実しようとする視点からは、是正が必要」と強く求めているのです。
Q3 三多摩の市長会から繰り返し要望が強く出されていますが、その要望をどのように受け止めるのか。
10月16日に厚生委員会で乳幼児医療費助成の所得制限撤廃を求める我が党の質問に対し、医療保険部長は2つの理由から所得制限はなくすべきでないと答弁しました。新たに所得制限を撤廃すると、14年度ベースで64億円費用がかかり、財源的に。また、老人、障害者などが所得制限を行っているので、諸制度間の負担の不公平となるというのです。しかし、64億円の財源というのは課題なみつもりであるといえます。
医療費改正で3割負担が3歳未満は2割負担となり、14億の削減が予想されている。
Q4 医療費の改正によって、生じた財源をいかし、所得制限撤廃に踏み切るべきだと思いますが、どうか。
さらに諸制度間の負担の不公平ということが、実際はどうでしょうか。区部で20区も所得制限を設けないで実施をしていることはご承知の通りですが、三多摩各市でも、所得制限の撤廃を単独で次々とすすめているのです。4歳未満まで所得制限を撤廃している多摩市では、月々のレセプトの状況から、0歳、1歳、2歳児が3歳以上児より病院にかかる率が多いとして、実施しているのです。また、2歳未満児まで所得制限を撤廃している狛江市では、来年度3歳未満児まで拡充する予定にしているといいます。負担の不公平というのは、すでに成り立たなくなっているのではないでしょうか。狛江市の担当者は「隣接する世田谷区が就学前まで拡充されており、全廃への親たちの願いは非常に強いものがあります」と、語っています。
そればかりではありません。この制度は経済的負担の削減による支援と同時に、乳幼児期の病気の早期発見、早期治療を促進し、さらに、若い親たちへの、子育て支援という面が重要となっているのです。子育ては大変だというマイナスイメージの材料がたくさんある中で、助成の拡大は明るいイメージのひとつとなり、子育てへの大きな励ましとなるものです。
Q5 真に少子化対策というのなら、国の医療費の制度がかわったこの時期にこそ、せめて3歳までの所得制限の撤廃に踏み切るべきではないでしょうか。