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八王子の織物産業について 〜1999年
 1999 年の八王子織物の質問は、4 年間都議会議員の候補者をやっている間、議員になったら質問したいと強く思っていたことでした。3 月の質問のため、1 月から質問づくりに取り組み、あらゆる関係者の声を聞いて反映しました。
 それまで織物組合の行事に何回も招待されたことがありましたが、その折に八王子織りの着物も購入しておきました。着物をきて議場に登場するのは 30 年ぶりということで、大変驚かれました。
 その写真をつけて質問の議事録を関係者の方に郵送しましたら、何人もの方からお礼の返事をいただきました。都議会議員になってよかったと心から思いました。

【清水】
〔八王子織物の現状〕
 はじめに、繊維産業について伺います。
 長引く不況、規制緩和の影響などにより、繊維工業が経営危機にみまわれています。私の地元の八王子織物も、伝統技術の継承があやぶまれ、産地そのものの崩壊も心配される事態になっています。
 かつては日本を代表する産業であった繊維製品は、今日では大きく後退し、生産高は多摩地域全体で 1994 年には 4,068 億円だったものが、そのわずか 3 年後の 1997 年には、その 7 割の 2,880 億円にまで減ってしまいました。八王子の織物生産高もこの 10 年の間に 2 分の 1 に減少しています。
 市内で機を織るあるご夫婦は「40 年、織物生産に携わってきました。いま毎月 3,000 本から 4,000 本のネクタイ生地を生産している。1 日 13 〜 4 時間、近所に機械の音を気にしながら休みの日も働いている」と、厳しい中でもがんばっている様子を語ってくれました。

〔八王子織物の歴史〕
 八王子織物は、八王子が桑の都と呼ばれ、桑の葉が一面にしきつめていた数百年の昔、農家に副業として機織の技術が生まれたのがはじまりです。江戸時代に出版された書物や、幕府が公布したお触れ書きなどにも名前があげられていました。
 戦前は国の産業政策や戦時統制などの影響をうけ、第二次世界大戦の際の空襲では設備の 90% を破壊されるという大きな打撃を受けながら、廃墟のなかから織り機を調達し、工場をたててがんばって戦後の経済成長を支えてきたのが八王子の織物の歴史です。
 その後も、時代の変化とともに、ウール着物の開発、ネクタイ、マフラーなどの新製品の開発にも取り組んできました。

〔地場産業支援は都の重要課題〕
 400 年の伝統に育まれた技術、技法によりつくられた「多摩織り」が、国と東京都から伝統工芸品の指定を受けたこともあり、伝統工芸士たちを中心に、手作りの素朴な味わいと温もりが特徴の八王子オリジナルの作品「お召し織り」「もじり織り」などが生み出されてきたのです。

 このような血のにじむような努力にもかかわらず。プラザ合意以降の円高と、それに伴う低価格のアジア製品の流入などによって、熾烈な価格競争にのみこまれて、八王子織物は存亡の危機に直面させられているのです。
 同時に許せないことは、伝統技術を守り、都内製造業を守ることが行政にとって大切な課題となっている、そのときに、国や都があいついで、地場産業の支援から手を引こうとしていることです。通産省は、業者のよりどころとなっていた繊維法と、繊維産業の振興組織であった事業協会をこの 6 月で廃止し、繊維産業対策を一般の中小企業施策に解消しようとしています。国がこれらの制度で、 30 数年来繊維産業を個別に支援してきた理由は、繊維産業が伝統的な日本文化のひとつであり、特に今日のような雇用情勢の中で、ハイテク部門まで含めて、多種多様な職種を残せる業種だからにほかなりません。
 また、国が撤退しようとするとき、東京都は、これにかわって支援するのではなく、地場産業の活性化のためにすすめてきた地場産業構造高度化対策事業を役割がすんだとして、今年度で終了させようとしていることは驚きです。

 伝統と歴史をもつ産業が存亡の危機に立たされているときに、行政が支援の手をさしのべるのでなくて、逆に引っ込めてしまうなどということがあってよいのでしょうか。知事の所見をうかがいます。
 むしろ、国が地場産業から撤退しようとしているときだからこそ、都が地場産業を都の産業振興の柱として位置付け、必要な予算も確保して支援する事が必要なのではありませんか。答弁をもとめます。

〔八王子織物を守る地元業者の必死の努力〕
 地元の業者のみなさんの話を伺いましたが、本当に厳しい環境のもとで、八王子織物をなんとか守ろうと、必死に生き残りのためのとりくみを行っています。

《若手後継者の取り組み》
 その一つが、若手後継者を中心に 100 名を越える会員を持つグループです。靴下から帽子、衣類などあらゆるジャンル、糸を染める、よる、織る、編むなどあらゆる工程の業者が、一緒に知恵を出し、これからの対策を真剣に考えようとつくったグループで、都立繊維工業試験場を利用して、研究交流を行うなど新しい取り組みの意欲に燃えて活動しています。

《商工会議所の取り組み》
 そして、その成果は、商工会議所が国の提案公募型地域活性化補助をうけ商店街の空き店舗を活用し、地域のデザイナーを育てることで、地場の繊維産業をアピールし、若手デザイナーがつくった衣服を販売する専門店デザイナーズハウス「BUS STOP224」という 40 平方メートルほどのお店を、昨年 10 月に開設することに実りました。

《織物組合の取り組み》
 今年百周年を迎える八王子織物組合は、これまでも、1957 年創作の紋ウールアンサンブルが好評で、呉服市場に広がり、全国各地で開かれた全国織物競技大会で、優勝するなどの、高い評価もうけてきました。現在でも原宿、京都、市内で、品評会、販売会を開催し、販路の拡大などに努力をしています。1991 年に指定された東京都の地場産業構造高度化対策事業ではデザインを公募し、市民ホールでの発表会や入賞者への表彰を行い、多くの若者が参加した事業などにとりくみました。私が今着ている着物も、こうした熱心な研究の中で作られたものです。

(八王子織物の着物を着て質問に立ちました)   

《独自ブランドの取り組み》
 岐阜県、鳥取、新潟小千谷、倉敷など、繊維アパレル産地では、産地ブランドの開発が活発にとりくまれています。
 八王子でも、独自ブランドの創立を今年度めざして努力しています。八王子繊維を工業における東京ブランドに指定して、都として、宣伝と販路の拡大に努めることは、大きな励ましになると思いますが、答弁をもとめます。

《都立繊維試験場の充実》
 ファッション商品はサイクルが早い分野です。このため業界は、世界のファッションに影響を与えている海外の最新情報の提供や、製造技術の高度化への対応、技術レベルのアップ市場開拓支援などを願っています。現在、こうした要望に都立繊維工業試験場が産地の近くである事で重要な役割を果たしています。
 都は試験研究機関の統廃合をすすめようとしていますが、これらの研究機関の役割は増大こそすれ、なくなるわけではありません。とりわけ繊維試験場は八王子繊維産業にとって欠かすことのできない施設です。時代のニーズにあわせた拡充こそ本筋ではありませんか。

〔中小企業振興センターの設置を〕
 また、八王子は繊維だけでなく電気機械、情報機器など 1,700 社以上も工場が集中する都内有数の工業集積地であります。中小企業振興センターについても要望があり、立川の計画に加えて、八王子に設置することも検討すべきだと思いますが答弁を求めます。

〔工業集積地域活性化事業の適用を〕
 また、現在東京、神奈川、埼玉にまたがる企業や自治体が「多摩産業活性化協議会」をつくって、工業の活性化に取り組んでいますが、加えて、都の工業集積地域活性化事業が同地域に適用される事になれば、大きく力になることは明らかです。この際、同活性化事業の適用を要望しておくものです。

〔国にセーフガード要望を〕
 八王子の繊維工業の困難は、これらの企業の努力が足りないとか、伝統のみ頼っているという事が原因ではないことは明らかです。最大の問題は、円高によって価格競争力をつけたアジア製品が洪水のごとく輸入されているという事です。国に対し、八王子でつくられているような伝統的繊維製品について、セーフガード、すなわち緊急輸入制限措置を、要望されるよう強く求めるものです。知事の見解を伺います。

【知事(青島幸男)】
 清水ひで子議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地場産業の振興策についてお尋ねがございました。地場産業の発展は、地域経済の活性化にとりまして、非常に重要な問題であると考えております。このため、今までも繊維産業などの地場産業が抱える諸問題や経済社会環境の変化を踏まえまして、新製品、新技術の開発助成とかあるいは経営・技術指導などを行うなど、地場産業の振興には十分力を注いできたつもりでおります。
 また、平成 8 年度からは、産業界が活性化を図るために行います自主的な事業に対しまして、業種別活性化対策事業で助成を行っているところでございます。
 今後とも、時代の変化や地域の実情に応じた産業振興施策の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 また、八王子でつくられているような伝統的繊維製品につきまして、国にセーフガードの発動を要請すべきであるとのご言及でございました。
 セーフガードは、自由貿易の維持発展を目的とした国際協定において、極めて厳格な用件のもとで認められております緊急避難的な措置でありまして、これまでわが国で発動した例はないわけでございます。
 地域の中小企業振興を図ってまいりますためには、経済環境の変化に応じまして、消費者のニーズに合致した競争力のある製品づくりと、その販路を開拓することが重要でございまして、このような観点から施策の充実に努めることが都としての役目であろうと、深く認識しているところでございます。
 次に、多摩地域の開発計画についてお尋ねがございました。多摩の新育成・整備計画や、八王子・立川業務核都市基本構想などは、地域の発展にとっても非常に重要なものであると考えておりまして、それぞれの地域の実情を踏まえまして、地元などと十分協議、調整を図りつつ作成してきたところでございます。

 また、多摩地域に開発計画を凍結すべきであるというお尋ねもございました。これらの計画を推進してまいりますことは、快適で豊かな生活を楽しめる、魅力にあふれた多摩自立都市圏を形成してまいります上で、極めて重要なものであると考えておりまして、今後とも関係市と密接な連携のもとに、それぞれの計画を着実に推進してまいりたいと考えております。

 なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁させていただきます。

【労働経済局長(大関東支)】
 八王子織物のすばらしいお召し物に感動しつつ、3 点のご質問にお答えします。
 まず、八王子の織物を東京ブランドとして指定すべきとのお尋ねでございますが、東京ブランド事業は 21 世紀に向けて、東京の中小企業に優れた製品の販路開拓を支援するため、創設を予定しているものでございます。平成 10 年度においては、この事業の内容をどのようにしていくかという事につきまして検討を進めており、今後、その結果を踏まえて、適用案件や販路開拓支援策について具体化を図ってまいります。

 次に、繊維工業試験場についてのお尋ねございますが、繊維産業の活性化を図るためには、時代のニーズに応じた新製品、新技術の開発を積極的に支援していく事が重要であると考えております。これまでも繊維工業試験場は、繊維産業の技術開発の拠点として、その時代の求める製品、技術の開発に積極的な支援を行ってきたところでございます。
 今後はさらに、多様化、高度化する技術課題の解決に向けて、他の試験研究機関が持つ技術との融合化を推進するとともに、地元業界のニーズに合った試験研究を推進してまいります。

 次に、地域中小企業振興センターについてのお尋ねでございますが、多摩地域中小企業振興センターにつきましては、多摩全域の中小企業の経営の安定や技術力の向上を図るための総合的な産業振興拠点となるよう、平成 14 年度を目途に、立川基地跡地に開設するため、現在準備を進めているところでございます。
 多摩地域中小企業振興センターの開設後における地域振興センターのあり方につきましては、区市町村との役割分担も考慮しながら検討してまいります。
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